書道の先生になるには?資格や師範免許を取ろう

書道を習う子どもの様子

「字がきれいに書けるようになりたい」「書の展覧会に出品したい」という目的で書道を習う方は多いです。練習を続けていく先には「書道の先生になる」という道もあります。書道の先生になるには、「師範免許」など何かしら資格が必須なのでしょうか?

今回は、将来的に書道の先生になることを考えている方へ、具体的な4つの方法を解説していきます。

書道の先生になる方法は主に4つ

書道を習い続けた先の道のひとつとして「書道の先生になる」ことを考えたとき、具体的な方法としては次の4つがあります。

 

書道の先生になる主な方法4つ

  1.  書道団体に所属し師範免許を取る
  2.  書道の公的資格を取る
  3.  大学の書道学科などで書道の教員免許状を取る
  4.  全国規模の書道展での受賞歴を重ねて実績を積み上げ、書道家になる

 

それでは、それぞれ詳しく解説していきましょう。

書道の先生になる方法①:書道団体に所属し師範免許を取る

日本文化には、茶道・柔道・剣道など「道」のつくものが多くあります。この場合の「道」という字は、経験を積み上げて指導者としてのプロを目指す過程を意味していると言われています。書道の場合も「師範免許」を取得することで、書道の先生や書道教室を開業することが可能です。

師範免許を取る方法は流派や会派によって異なる

書道には、それぞれ筆法が異なる「流派」や「会派」が存在し、師範免許を取る方法も各々異なります。

ちなみに流派は「〇〇流」など、茶道や華道などで多く見られるもので、伝統的な作法や技法を継承するスタイルのことを指します。対する会派は「〇〇協会」「〇〇連盟」など、書道における団体のことを指します。それぞれの会派では、団体ごとに文字の種類や特徴などが違っています。

師範免許を目指すなら教育系の会派がおすすめ

書道の級・段位・師範免許を目指す場合は、流派よりも会派で教室を選ぶ方法が主流となっています。さらに会派には「教育系」「芸術系」の2系統がありますが、教育系の団体で習うのがよいでしょう。

書道の師範免許を目指す場合は、教育系の各会派(書道団体)に所属し、毎月の課題を練習して昇級・昇段試験を受けながら段位を目指します。団体によって異なりますが、一般的に級位は8~1級、その後の段位は初段から9段まであり、その先に「師範」の資格が待っています。ただし師範資格は各書道団体が独自に認定するものですので、公的な資格ではありません。特技としては履歴書に書けますが、資格としては書けないことになります。

書道の先生になる方法②:書道の公的資格を取る

書道の先生になるには、書道の公的資格を取得するのもひとつの方法です。毛筆の実力を示すことができる毛筆検定は各団体でさまざまなものが設定されていますが、その中でも唯一公的性をもつのが「毛筆書写技能検定」であり、1級を取得することで書道の先生として開業することができます。

書道の公的資格「毛筆書写技能検定」とは

毛筆書写技能検定試験は、文部科学省の後援を受けて一般社団法人日本書写技能検定協会が主催している毛筆の検定試験です。こちらの団体では、硬筆(ペン字)の書写技能検定試験も実施しています。

毛筆書写技能検定試験では6~3級・準2級・2級・準1級・1級の8つの等級にわけられ、1級が一番難しい級数となっています。こちらの資格は特技としてではなく、公的資格として履歴書に書けるのも大きなメリットです。

難易度

書道の先生になれる公的資格「毛筆書写技能検定1級」を取得するためには、「実技535点(600点満点中)+理論315点(400点満点中)」を取る必要があります。また、1級の最新合格率を見てみると、令和3年度第3回では8.7%となっています。受験者10名中約8名しか合格できないという難関資格であることがわかります。

書道の先生になる方法③:大学の書道学科などで書道の教員免許状を取る

小中高など学校で書道を教える先生になる、という方法もあります。この場合、教員免許状をもっていることが前提となります。

学校によって必要な教員免許状が異なる

小・中学校では、「書写」という学習が国語教科の中でおこなわれています。小学校での書写授業を指導する場合は「小学校の教員免許」が、中学校では「中学国語の教員免許状」をもっている必要があります。また、高校で書道を教えたい場合は、「高校国語の教員免許状」だけでなく「芸術科書道の免許状」も必要です。

書道の免許状を取得可能な大学に入学する

学校で書道の先生になるためには教員免許状が必要であり、さらにそのためにはそれが可能な大学へ入学する必要があるのです。これから大学受験に望む年齢の方は、書道の免許状を取得できる学科のある大学を探してみましょう。

書道の先生になる方法④:全国規模の書道展での受賞歴を重ねて実績を積み上げ、書道家になる

書道家とは、いわば芸術家です。書道を芸術として捉え、数々の書道展で名を馳せることで、書道教室を開き、生徒を取ることができるケースもあります。書道家になるのに資格は不要です。

まとめ

書道の先生になるには、主にご紹介したような4つの方法があります。どのようなスタイルでどのような環境で書道を教えたいのかを改めて考えてみて、自身に合う方法を選択してください。

書道研究 尚美社では、子どもの頃から熱心に通い、現在は当教室の指導者として活躍している生徒もいます。また、公的なペン字検定である硬筆書写技能検定を目指すことも可能です。ぜひ一緒に練習に励みましょう!