ご祝儀袋(金封)の選び方、表書き・中袋の書き方を解説します

ご祝儀袋に筆で書く様子

結婚式や出産など、さまざまな人生の節目で登場する「ご祝儀袋」。初めての場合には、正しい扱い方がわからないものです。ご祝儀袋にもいくつか種類があり、書き方などにもマナーがありますので、知識として知っておかないとお相手に失礼に当たってしまいますので、注意が必要です。

そこで今回はご祝儀袋について、正しいものを選ぶ際の2つのポイントや表書きと中袋の書き方などを詳しく解説します。

ご祝儀袋(金封)とは

ご祝儀袋は、結婚式・入学式・出産などおめでたい場面でのお祝いとして、現金を包んで贈る際に使用する専用の袋のことです。

「金封」とも呼ばれ、正確には「金封=水引で結び熨斗を貼り付けたもの」「のし袋=水引・熨斗を印刷したもの」というように両者は区別されます。包む金額が高い場合にはご祝儀袋、それほど大きくない場合には金封、というように使い分けましょう。実際には、両方の総称として「ご祝儀袋」という名称が使用されています。

※ 水引(みずひき)…贈り物に添えられる飾り紐
※ 熨斗(のし)…貴重とされていたアワビを熨して乾燥させたものをお祝い事に添える、という昔の慣習。現在は紙で作った折り熨斗が主流。

ご祝儀袋の正しい選び方

ご祝儀袋を購入しに行くと、さまざまな種類やカラフルなものに出会うため、どれがよいのか迷ってしまう方も多いでしょう。中でもフォーマルなご祝儀袋は「白」で、立体的な水引や熨斗が貼り付いているものとなります。ただし、次の2つのポイントに注意しながら選ぶ必要があります。

 

正しいご祝儀袋を選ぶポイント

  1.  金額に見合ったものを選ぶ
  2.  お祝い事の種類によって水引を選ぶ

ポイント①金額に見合ったものを選ぶ

お祝いとして包む金額が大きい場合には豪華なご祝儀袋を、それほど大きくない場合や、結婚式をやむを得ず欠席する場合には水引や熨斗が印刷された簡易タイプを選びましょう。ご祝儀袋の価格の目安は「包む金額の約1/100」です。

金額別にオススメのご祝儀袋の形状は、以下のとおりです。

 

包む金額

ご祝儀袋の形状

10万円~

大きめのサイズで、立体的な水引が付き、シボ(皺)の入った和紙で作られた豪華なもの

5万~8万円

表書き部分が短冊状ではなく波状に織り込まれた和紙製で、飾り結びが華やかなもの

2万~3万円

金銀・紅白の水引を掛けたスタンダードなもの

~1万円

水引・熨斗が印刷されたもの。結婚式を欠席する際にも適切。

近しい友人に贈る場合は色柄付き・洋風タイプも可

最近は、ピンクやグリーンなどカジュアルな色柄物のご祝儀袋も増えています。お祝いを贈る相手が近しい友人などの場合には、このようなカラフルでカジュアルなタイプもOKでしょう。

ポイント②お祝い事の種類によって水引を選ぶ

ご祝儀袋の表に付いている「水引」にもいくつかの形状があります。お祝い事の種類によって、適切なものを選んでください。

結婚・退院祝いには「結び切り」

新郎新婦が固く結ばれるよう、簡単にはほどくことができない固結びである「結び切り」または「あわじ結び」の水引が付いているご祝儀袋を選ぶのがマナーです。水引に使用される紐は、紅白か金銀のものが10本になっているものとなります。また、何度も起こってほしくない入院の終了をお祝いする退院祝いでも「結び切り」を選ぶのが適切です。

出産・七五三・入学・卒業・昇進・新築・引っ越し祝いには「蝶結び」

これらは基本的に「何度あっても喜ばしいお祝い」とされていますので、何度も結び直すことができる「蝶結び」の水引が付いているご祝儀袋を選びましょう。

ご祝儀袋の表書きと中袋の書き方

ご祝儀袋の表書きと中袋は、筆や筆ペンを使い、濃い墨でしっかりと書くのがマナーです。毛筆に慣れていない方は、太いサインペンでもマナー違反ではないようです。ただし、ボールペンや万年筆などの使用は避けてください。

表書きの正しい書き方

表書きを書く際に気をつけたいのは次の4点です。

 

ご祝儀袋の表書きを書くときのポイント

  •    結婚祝いでの名目は「寿」または「御結婚御祝」
  • その他のお祝での名目は「御祝」「卒業御祝」「新築御祝」など種類に合わせる
  • 自身の名前は名目よりも少し小さめに、フルネームで書く
  • 連名にする場合は3名まで

 

「名目」とは、ご祝儀袋の中央上部に書き入れる言葉です。お祝いの場ですので、死を連想させる「4」に関係する行為は避けます。たとえば名目についても4文字は避けるようにしてください。

夫婦連名の場合は、夫はフルネーム、その左側に妻の名前を書きます。立場に差のない友人との連名では、五十音順にフルネームを並べましょう。職場の人と連名する際は、役職の位が高い人から書くのが正しいです。

中袋(中包み)の正しい書き方

印刷ものではないご祝儀袋には、お金を包む中袋(中包み)が付いています。こちらには、包んだ金額や自身の住所・名前を記入します。中袋にこれらを書く際に気をつけたいのは、次の4点です。

 

中袋(中包み)に書くときのポイント

  •  表面に、包んだ金額を「旧字体の漢数字」で書く
  •  裏面の左下に、自身の郵便番号・住所・名前を書く

 

中袋や中包みに書く数字は、「壱(1)、弐(2)、参(3)、伍(5)、六(6)、拾萬(10まん)円」などの旧字体の漢数字にする習わしがあります。これは「一、二、三」といったシンプルな漢字では、簡単に数字を書き替えられてしまう可能性が高いためです。また、お祝い事では新札を準備し、「中袋の表面側に肖像画がくるように」そろえて入れましょう。

まとめ

お祝いの場面で使用するご祝儀袋は、選び方や書き方にマナーがあります。相手に失礼のないよう、正しいマナーを覚えていきましょう。書道の腕前があれば、ご祝儀袋を書く際にも大変役立ちます。書道研究 尚美社では、大人一般、かな文字、ペン字などのコースもありますので、お気軽にお問い合わせください。