現代でもっとも目にする書体「楷書」とは?その歴史や特徴をわかりやすく解説

書道の筆

「楷書」は書体のひとつであり、現代では書類や印刷物などで多く使用されていたり、記入する際に「楷書で」と指定されたりすることの多い書体でもあります。また、書道を学ぶ上でも欠かせない書体でもあるのです。

今回は楷書という書体について、その歴史や特徴、書くときのポイントなどを解説していきます。普段見慣れた書体について、知らなかったこともあるかもしれません。書道を習いたい方はぜひご一読ください。

楷書とは

「楷書(かいしょ)」は、代表的な5つの書体(篆書・隷書・楷書・草書・行書)のうちのひとつであり、これらの中でも成立したのがもっとも新しい書体です。「真書」という名称で呼ばれることもあります。ここでは、楷書が使用されることの多い場面や、歴史などについてご紹介していきましょう。

楷書は現代でもっとも目にする書体

現在の日本で、公的な書類などでもっとも多く利用されているのが楷書体です。その一番の理由は、行書など他の書体のように字体が崩れていないため、読みやすい点にあります。また、「楷書=正書」ですので、「正書で書いてください」と言われたら、読みやすい楷書で書くことを希望されていると捉えましょう。

楷書パソコンで文章や表を作成する際に標準書体としてよく使用される「明朝体」や「ゴシック体」などがありますが、これらも楷書の種類のひとつに数えられます。

楷書は書道の基本となる書体でもある

実は、楷書は書道の基本となる書体でもあります。書道を習う上で最初に学ぶのが楷書体ですので、小学校の書道の時間や書道教室などで、お手本として楷書体を見たことがある方も多いのではないでしょうか。楷書の「楷」という漢字には「手本」「のっとる」という意味があります。

楷書の歴史

楷書は3世紀の初頭、王国の呉から発見された資料が、その萌芽期とされています。その後、南北朝以後の標準書体となり、初唐の虞世南、楮遂良ら名家によって、スタイリッシュな楷書が確立しました。

楷書の特徴は主に3つ

正式な書体として長い間広く浸透している楷書体には、次のような特徴があります。

 

楷書の3つの特徴

  •  一画、一点を丁寧に、続けないで書く
  •  横画は少し右上がりになる
  •  読みやすく実用性が高い

 

普段見慣れている書体ですので、特徴についてもわかりやすいかと思います。では、それぞれ説明していきましょう。

一画、一点を丁寧に、続けないで書く

ご自身で字を書くときのことを改めて考えてみてもらえると、楷書では一画一画を続けないで書いていることに気づくと思います。楷書は、行書などのように字形を崩してつなげて書くことはせず、一画、一点ずつ紙から離しながら文字を書いていきます。

横画は少し右上がりになる

楷書は基本的に左右対称となる字形ではありますが、美しく仕上げられている楷書体では、横の線が少々右上がりになるのが一般的です。

読みやすく実用性が高い

楷書は字形が崩れておらず、一画、一点を別々に書くため、さまざまな書体の中でも読みやすい書体です。パッと見ても読み間違いが少なく、実用性が高い書体でもあります。

楷書を書くときのポイント

ここでは、実際に楷書書く際におさえておきたいポイントを解説します。

起筆、収筆を意識して筆を運ぶ

書道には「始筆(トン)・送筆(スー)・終筆(トン)」の3つがそろった三折法という書き方があります。楷書はまさにこの三折法のリズムで、筆順よく書く書体だといえます。リズムを意識することで、楷書を美しく仕上げることができるようになります。

もっとも長い横線は1文字につき1箇所のみにする

横線が複数ある漢字の場合、そのすべてを長くすると安定感は増しますが、美しさには欠ける印象となってしまいます。楷書をバランスのよい字形にするためには、横線を1箇所のみ長くするのがポイントです。「書」という漢字を想像してみるとわかりやすいでしょう。

まとめ

「楷書(かいしょ)」は、代表的な5種類の書体の中でも成立した時期が一番新しい書体です。日本では公的な書類などで正式な書体として利用されることが多く、目にする機会がもっとも多い書体だといえるでしょう。また、書道の基本の書体でもありますので、これから書道をはじめたいと考えている方は、楷書からはじめるのがオススメです。

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